2021.03.18

お知らせ

金属3Dプリンターの市場概況 【売上規模・販売台数・シェア・状況・課題・今後の方向性】

こんにちは。

 

株式会社タカノです。

 

当記事は金属3Dプリンターの市場概況についてお伝えします。


金属3Dプリンターの市場概況

金属3Dプリンターの「売上規模」「販売台数・シェア」「状況」「課題」「今後の方向性」について、順番にお伝えします。


金属3Dプリンターは成長市場です。

 

売上規模は2017年時点で「造形装置:1,223億円」「金属粉末材料:約110億円」。2030年には「造形装置:6,500億円」「金属粉末材料:6,500億円」「造形品:約2兆円」まで拡大成長すると予測されています。

 

特筆すべきは「金属粉末材料」「造形品」の急成長。金属3Dプリンターで造形される金属製品が増加することを意味しています。「医療」「航空・宇宙」「自動車」の業界では、特に金属3Dプリンターの利用率が高まると予測されています。

出典:国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)より


金属3Dプリンターの市場概況:販売台数・シェア

 

2018年は全世界で約2,300台が販売されました(内、国内は100台ほど)。2017年が1,800台弱であることからも市場が伸びていることが分かります。

 

主要な金属3Dプリンターメーカーは欧米で、特にドイツが高いシェアを占めています。

出典:国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)より

 

2014年頃までは、3Dプリンターと言えばプラスチック製品を造形する「樹脂3Dプリンター」が主流でした。しかし2019年時点では、全世界約180社の3Dプリンタ関連企業の内、約50社近くが金属3Dプリンター(metal machines)を扱うほどに存在感を高めています。

出典:AMFG調査 より


金属3Dプリンターの市場概況:状況

 

金属3Dプリンター市場の状況を見ていきます。

 

まず初めに金属3Dプリンター市場は、「装置」「金属粉末材料」「プロセス」と3つの要素で構成されています。

 

「装置」は金属3Dプリンターメーカーは製造・販売をしています(もしくは商社・卸売業者が販売)。

 

ユーザーは大企業・大学・研究機関を中心とした「自社で購入し研究開発などに使用する」パターンと、受託造形企業と言われる「購入したプリンターでお客様からの依頼品を造形し販売する」パターンがあります。

 

「金属粉末材料」は金属3Dプリンターで使用される材料であり、粉メーカーが開発し販売しているケースが主流です。

 

金属粉末材料は造形品の精度に影響しますので、大学や研究機関も調査研究に取り組んでいます(ちなみに家庭やオフィスで使用される「プリンター」は、プリンター本体と消耗品はいずれもプリンターメーカーから販売されていますので、ややビジネス形態が異なります)。

 

「プロセス」は金属3Dプリンターで造形する為に必要な全てが含まれますので、非常に広義です。

 

例えば「熱(のシュミレーション、後処理など)」や「造形のノウハウ」などです。金属粉末材料同様に造形品の精度に影響しますので、産学官において調査研究が進められています。

 

出典:国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)より

 

主用途は「試作品」の造形です(詳細後述)。将来的には実部品の造形も期待されています。なお海外の企業では、既に実部品の造形にも使用されています。

 

出典:国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)より


金属3Dプリンターの市場概況:課題

 

課題は「コスト」と「品質」です。

 

「コスト」

金属3Dプリンター及び材料が高額なため、導入できる企業が限られます。また同じ理由から受託造形企業がお客様から依頼を受けて販売する価格も高額になります。

 

「品質」

品質保証の観点から、実績がある技術が優先されます。また日本では伝統的な技術(切削加工、鋳物、ダイカストなど)を信頼する傾向が強く、新技術への挑戦へ躊躇する傾向があります。

 

金属3Dプリンターが「実部品の造形にも使用」されるようになるためにも、上記課題を解決していく必要があります。

出典:国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)より


金属3Dプリンターの市場概況:今後の方向性

 

今後の方向性として「シュミレーションによる造形精度の向上」が推進されています。

 

上述した「装置」「金属粉末材料」「プロセス」の3要素が連動し造形精度が向上することで、「品質」に対する信頼性が高まることが期待されています。

出典:TRAFAM使用 より

 

加えて「造形要望に対し瞬時に造型可否を判断出来るシステム」にも期待が高まっています。

 

現状は個々のニーズに対して、造形可否を含めた検討をしていましたが「システム構築」「シュミレーション精度向上」により、「造形可否の判断」「最適な造形条件の選定」「最適形状の提案(ジェネレーティブデザインなど)」「強度の計算」「品質保証」が瞬時に行われるようになるでしょう。

 

より実用的に、安心して金属3Dプリンターを使用出来るようになることが期待されています。

出典:TRAFAM使用 より


金属3Dプリンター市場概況のまとめ

 

金属3Dプリンターの市場概況をまとめますと下記となります。

 

金属3Dプリンター市場概況のまとめ

 

・市場は成長傾向(売上規模(全体) 2017年:約1,300億円 → 2030年:約3.3兆円見込み)

・本体販売シェアは欧米(特にドイツ)が高い

・市場は「装置」「金属粉末材料」「プロセス」の3要素で構成される

・現状の課題は「コスト」「品質」

・今後の方向性はシュミレーション精度が向上しシステム化が進む

 

以上、ご覧頂きありがとうございました。

 

株式会社タカノ

 

*当記事に記載した内容は公開資料を基に編集しております。万が一情報に誤り等ありましたら恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご連絡を頂けますようお願い申し上げます。